平成最後の歌舞伎座公演「四月大歌舞伎」の昼の部へ、千秋楽の昨日、行って参りました。
幕開きは「平成代名残絵巻」と名付けられた新作。
「平成」の世を讃え、来る新たな時代への期待も込めたというこの新作歌舞伎。
復帰後の福助さんの舞台を観るのは、私自身は初めてで、凛とした常盤御前姿の福助さんに、感激し、目頭が熱くなりました。
続く二幕目の「新番歌祭文」の<座摩社>は、昭和54年以来の上演とのことで、可笑しみに溢れた場面で、悲しい<野崎村>の場面へと続く前の場はこんなだったのだな、と初めて観る場に感心。
<野崎村>の幕切れで、お染が母と一緒に舟へ向かう場面では、国立劇場の二階に飾られた、大好きな鏑木清方の「野崎村」の絵が思い浮かびます。
東側の花道の舟に乗った雀右衛門さんのお染と、西側の仮花道の籠に乗った錦之助さんの久松の、両花道の引っ込みに、時蔵さんのお光の最後の「ととさん」の台詞に胸が熱くなる一幕。
続く三幕目は藤十郎さんの米寿を祝う「寿栄藤末廣」。
謡曲「鶴亀」を長唄へ移した「鶴亀」が元となったという、鴈治郎さんと壱太郎さんも共演の、おめでたい三代共演の華やかな祝儀舞踏。
そして昼の部の切り幕は、今月のお目当て。「御存 鈴ヶ森」。
菊五郎さんの白井権八の立廻りは、次々と雲助を斬り捨てて行く残酷なはずの場面を 滑稽な演出でたのしませてくれる、歌舞伎ならではの見どころ満載の一場面。
吉右衛門さんの渋い幡随院長兵衛との大顔合わせのやりとりも最高ーーー!!!で、平成最後の一幕を堪能させて貰いました。
今回の幕間のお弁当は、持ち込みで。
地元横浜で買い求めた、その名も「ありがとう平成シウマイ御弁当」。
平成元年当時の写真が掛け紙の、期間限定のお弁当。
記された横浜の平成史に、その時々がなつかしく思い出されます。
中身には、平成時代に活躍しながら、現在は後進へとその座を譲ったと言う、エビフライ、レンコンの炒め煮、大根漬けが復活し、加えられていました。
平成に観はじめ、たっぷりたのしませて貰った歌舞伎公演。
新しい令和の時代にもたくさんの舞台を観られ、そしてたのしませて貰えますように。