空薫き

今月頭の3/1に最終回が掲載され、連載終了を迎えた篠綾子先生の短編時代小説「残り香」

その作品中で、とても魅力的に描かれている練り香の空薫き。

以前から興味は持ちつつ、実際に自身で薫いてみたことはありませんでした。

そこで挿絵を描かせて頂く下準備の段階で、これは絶好の機会!!と空薫きの道具を揃え実体験してみることに。

京都の老舗のお香屋さんのウェブショップで、空薫きに必要な練り香・灰・炭のほか、せっかくなので香炉と火箸も求めやすかったものを取り寄せてみました。
香合は引出物として戴いたもので、スティック状のお香を薫く際の香皿に、などとして長年愛用していたもの。

はじめて自身で薫いてみた練り香。
もっと強めなのでは?と想像していた香りよりずっと控えめな香り方で、強すぎる香りが苦手な私にはとてもうれしい香り方。

ゆっくりと炭をおこし、その炭を灰に浅く埋め、あたたまった灰の上にそっと練り香を起き、しばらく待つと、何とも言えない奥ゆかしい練り香の香りが漂ってきて、その香りは空間と時間をもゆったりとさせ浄化してくれるよう。

化学的な香りが苦手で、部屋でたのしむ香りものはエッセンシャルオイルでのアロマセラピーばかりになりがちでしたが、お香の世界の奥深い魅力に、新たな香りのたのしみが増えました。