金工作家・日比淳史さんの「稜線」と名付けられた草を飾る鉄彫刻。
アクアマリンふくしまなどに常設展示されている日比さんの金属アートを代表するモニュメントは、多くが高さ180cm前後の大作。
初めてその野外展示の大作を拝見した時に、錆びた鉄で出来たその姿に、今まで自分の中で「鉄」というと硬くて無機質な物質とばかり思い込んでいた概念が180度覆り、ああ、鉄は土の中から作られた、自然の中から産まれたものだったんだ、と気づき、そして叩かれて強度を増し、人の暮らしをその強さで守り、役立ち、やがて錆びて静かに土に戻って行く、とても温かみのある金属だったんだな、と強く心を打たれました。
そして、人間とは、自然とは、ということを思い、考えさせられるのです。
そんな日比さんのこの鉄彫刻は、花器として使え、小宅にも置ける26cmほどの作品。
活ける草や花によってその表情がまた違って見えます。
生きるとは、強さとは、そしてほんとうのやさしさや美しさとは、と、静かに語りかけながら、日々の暮らしを見守ってくれているようです。