国立劇場で上演中の「3月歌舞伎公演 」へ行ってきました。
明治150年記念 四代にわたる芸の継承と名付けられた今回の公演。
一幕目は上方の中村鴈治郎家に、代々受け継がれ、所縁の深い若狭之助を当代の鴈治郎さんが初役で勤めると言う「増補忠臣蔵」。
「仮名手本忠臣蔵」の九段目「山科閑居」の前日譚として、新たな場面を創作、補筆した作品だそう。
鴈治郎さんの若狭之助が見せる、忠臣・本蔵への思いやりと、亀蔵さんの本蔵の、主人・若狭之助への忠義。
その二人の、切ない別れの場面には、目頭が熱くなりました。
そして二幕目は、たのしみにしていた、本日のお目当て。
江戸の尾上菊五郎家に受け継がれ、当代の菊五郎さんも継承した新三。
その新三を菊五郎さんの監修の下、菊之助さんが初役で勤められる「髪結新三」。
菊之助さんのぞくっとするほど美しい、新三の色悪ぶりに、惹きつけられ、魅入ってしまいました。
菊五郎さんの粋でいなせな小悪党の新三とはまた違った、匂い立つような色気が魅力の菊之助さんの新三。
回を重ねて、益々魅力が増して行くこと間違いなし!!で、千秋楽までにも一度観に行きたい!!と思ってしまいます。
河竹黙阿弥の「傘づくし」などの名台詞も小気味よく、江戸弁の気風のいい台詞づくしを堪能。
一幕目の忠臣・本蔵とはがらりと変わった、家主・長兵衛を演じる亀蔵さんと、新三とのやりとりは絶妙に面白く、團蔵さんの俠客・弥太五郎源七が渋くてよかったです。
そして序幕には、菊之助さんのご長男・和史くんが、2年前の初お目見得ぶりに、丁稚・長松で登場し、よく通るいい声で、すっかり丁稚・長松らしい、すばらしいお芝居を見せてくれました。
和史くんが演じる新三は、どんな新三になるのかな?
菊五郎さんの新三もまた観たいし、音羽屋さんの新三をこれからもたくさん観られるとうれしいです。
満喫した舞台の後は、劇場近くのお気に入りの甘味処「おかめ」へ。
肌寒かったこの日。
おいしいぜんざいで、からだも心も温まり、大満足の芝居見物のひとときを過ごせました。